当社の技術開発
安全なナトリウム硫黄電池(次世代型NaS電池)を開発しています。
開発技術①
隔壁が破損した時、陰極室への溶融ナトリウムの供給を抑制する電池です。この電池は、陰極室とナトリウムタンクとを連通する連通路に細孔部を設ける技術(技術①-1)、及び連通路に最狭部とフロートとを設ける技術(技術①-2)です。 本技術は、日本(JP6732218B)、米国(US10637103B)、韓国(KR102028847B)、中国(CN108140905B)にて特許を取得しています。
技術①-1は、隔壁が破損して硫黄又は硫化ナトリウムが陰極室内からナトリウムタンクに向けて連通炉内を流れても、細孔部で逆流する硫黄量を少量に限定できます。ナトリウムタンクからのナトリウムと硫黄が反応しても、全体の反応量が限定されます。そして、反応時の発熱量を少なく抑えることで電池の過熱・発火を抑えます。
技術①-2は、隔壁が破損してそこから硫黄又は硫化ナトリウムが逆流したとしても、逆流する硫黄又は硫化ナトリウムによりフロートが浮遊し、最狭部を閉じます。ナトリウムタンクへの硫黄の逆流がストップし、硫黄とナトリウムとが直接反応することを阻止できます。
開発技術②
隔壁が破損した時に、破壊した部分より離れた位置にある溶融ナトリウムと破壊した部分から侵入する溶融硫黄とを分断して破壊による損傷を最小化する電池です。この電池は、隔壁の陰極室側の表面に、隔壁に押し付けた状態で通液性のシート部材を配する技術(技術②-1)、及び隔壁の陽極室側の表面に通液性のシート部材を配するとともに、陰極室側からシート部材側に隔壁を押し付ける技術(技術②-2)、を備えています。本技術は、特許出願中の技術です。
技術②-1は、隔壁が破損し、そこから溶融硫黄が陰極室側に侵入したときに、隔壁とシート部材の間隙に保持されているわずかな溶融ナトリウムと溶融硫黄が反応します。陰極室の内部に保持されている大部分の溶融ナトリウムとはシール部材で隔てられており、更なる反応(連鎖的な反応)が抑制されます。
技術②-2は、隔壁が破損したとき、破壊された隔壁の破片はシート部材で保持され、破片の飛散が抑制され溶融硫黄と溶融ナトリウムとを隔離する隔壁の役割をある程度果たします。溶融硫黄と溶融ナトリウムとの多量の反応を回避でき、火災の発生を阻止できます。
開発技術③
隔壁の形状を板状に変更して、陰極室内のナトリウム量を減らした電池です。この隔壁は、板状の厚さ方向の中央部に薄い箔状空間の陰極室を形成しています。この隔壁は、板の両面がともに隔壁として機能するため、広い隔壁表面を備えています。
この電池の隔壁は、陰極室に収納されている溶融ナトリウム量が極めて少なくなります。損傷により隔壁が破壊して溶融硫黄と反応したとしても、溶融ナトリウムの量が少ないため反応量(発熱量)が少なくなります。板状隔壁を含むその周囲の溶融硫黄の温度がわずかに高くなる程度に収まります。発火に至るまでの温度上昇が抑えられます。
更に、この隔壁が破壊しても陽極室内の溶融硫黄が陰極室内に流れ込み陰極室内で破壊個所からナトリウムタンク方向に流れ、溶融ナトリウムと溶融硫黄が反応して反応熱を放出しながら硫化ナトリウムに変わります。生成した硫化ナトリウムは陰極室内でナトリウムタンク側に流れ未反応の溶融ナトリウムと反応し、硫黄成分に対してナトリウム成分の多い硫化ナトリウムへと変化します。この反応を繰り返してナトリウム成分のより多い硫化ナトリウムを生成していき、最後に固体の硫化ナトリウムを生成します。固体の硫化ナトリウムは、陰極室内で凝固して陰極室を閉じ、更なるナトリウムと硫黄との反応を阻止します。発火等の大きな災害の発生が抑えられます。
本技術は、WO2022/186139Aにて国際公開しています。
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